1951年

  • 2月

    • 07日(水)  バイオレット初登場(登場人物の初登場)

      「バイオレットは,私の心の嫌なところだよ。
      バイオレットについて・・チャールズ・M・シュルツ

      バイオレットはポニーテールの女の子です。ピーナッツが1950年に掲載開始直後の初期登場人物(チャーリー・ブラウン,パティ,シャーミー,スヌーピー,そしてバイオレット)の一人です。

      最初の数年,バイオレットは『よくいる少女』の役割でした。主要な登場人物の中で,バイオレットのように泥パイを作る子は誰もいなかったのです。しばらくの間,バイオレットは大活躍していました。1950年代の中盤にパティと組んで,なかなかのいじわるコンビになっていきました。彼女たちがチャーリーブラウンを標的にしたとき,かわいそうな彼に勝ち目はほとんどありませんでした。彼女たちのいじわるは,怒鳴りまくるルーシーを越えていました。

      1960年代にはバイオレットはルーシーのお供のようになり,そして,70年代中頃にはほとんど姿を見かけなっていきます。 シュルツさんは1988年のインタビューでバイオレット,シャーミー,パティについて,こんなような話をしています。 「何人かの登場人物は,漫画のアイディアをひらめかせるほどの個性がなかったんだ。」 「彼らは本当にごく普通の人々すぎたんだ。」

      バイオレットは,ルーシーほどヒステリックでも乱暴者でもない女の子だったのです。

      1950年代~60年代かけてルーシーやサリー,ペパーミント・パティなど個性豊かな女の子達が次々登場していく中,バイオレットは特徴がなさ過ぎました。70年中頃以降は,その他大勢のようなセリフのないカメオ的登場になり,バイオレットも『登場しなくなった登場人物たち』の仲間入りを果たし,ついに1997年が最後の登場になりました。

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  • 3月

  • 5月

    • 30日(水)  シュローダー初登場(登場人物の初登場)

      シュローダーは,1951年5月30日に『ピーナッツ』の中の最初の赤ちゃんとして登場しました。

      彼は、天才ピアニストであると同時に作曲家ベートーベンを熱愛しています。そして、チャーリー・ブラウンの野球チームではキャッチャーを務め、ルーシーの一方的な片思いの相手でもあります。
      またシュローダーは,最初に紹介されるときには,チャーリーブラウンや他の子よりもずっと幼いのに,急速に成長するのです。
      赤ちゃんで登場したときは、目立つ特徴のない感じでしたが、シュルツさんはかねてから「娘のメレディスのおもちゃのピアノ」を漫画に取り入れたいというアイディアをもっており、それを最も新しい登場人物シュローダーに取り入れました。

      またシュローダーは『おなじみのシーン』(「おもちゃのピアノを見事に引きこなすシーン」「ピアノに寄り添うルーシーのシーン」)が初めて与えられたキャラクターでもあります。シュローダーがまだ赤ちゃんだったとき、チャーリー・ブラウンが彼に本物ピアノを弾かせてあげようとしましたが、彼はおもちゃのピアノの方が良かったのようです。
      そもそもブラームスやバッハより,なぜベートーベン なんでしょう?

      50年代頃のストリップでは、シュローダーはベートーベンだけでなく、他の作曲家ブラームスやショパン、メンデレスゾーンなどもおもちゃのピアノで演奏していました。 シュルツさんは最初の頃、ブラームスをシュレーダーの大好きな作曲家として描こうと決めていたそうですが、
      「ともかくベートーベンという名前がよかったんだ。これがブラームスやモーツアルトじゃ面白くないんだ」
      と語っています。シュルツさんがベートーベンファンというわけではないんですね。

      そして、なんといってもシュローダーといえば「おもちゃのピアノに寄り添うルーシーとシュローダー」のシーンでしょう。 ルーシーはシュレーダーに夢中で、「もし、あなたと私が結婚して・・」など積極的にアプローチをシュローダーのピアノに寄り添いながら続けていますが、もちろんシュローダーがそれに応えることはありません。

      私が初めて読んだピーナッツは、まさしくシュローダーとルーシーの4コマでした。私は、"魅惑的""悩殺的"という言葉をシュローダーの横に寄りそうルーシーから学びましたよ。

      一生独身だったベートーベンのようにシュローダーに取り付く島もないのですが、長年のルーシーの努力はあながち無駄とも言えません。ルーシーとライナスの姉弟の一家が街から引っ越してしまうという長編のお話の中で、シュローダーはルーシーを思い出して、ピアノが弾けなくなったり、1984年のベートーベンの誕生日をお祝いするサンデー版では、シュローダーはルーシーのほほにキスさえしたりします(ただし、ルーシーはスヌーピーにキスされたと勘違いし、金切り声を上げて走り去るのですが)。

      彼の名前のゆらいは1975年の本、ピーナッツ25周年記念本「ピーナッツジュビリー」でシュルツさん自身が記述しています。
      「シュローダーという名前は、セントポールにあるハイランドパークのゴルフコースでよくキャディを勤めてくれた青年の名前を頂戴しました。彼の名字がなんだったのか、どうしても思い出せないのですが、漫画の中のこのキャラクターにはシュローダーだけで十分でした。彼がまだ今のような大音楽館になる前のことです。」
      そして、シュローダーにおもちゃのピアノ弾き方を教えたのは、チャーリー・ブラウンでした。1951年9月24日のストリップのことでした。そして、早くもその天才ピアノニストぶりを示したのです。

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      しかし、ベートーベンへの彼の熱愛っぷりは、同じ年の10月10日まで始まりませんでした。ベートーベンをシュローダーに紹介したのも、どうやらチャーリー・ブラウンのようです。

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      それ以来、シュローダーのベート-ベン愛はとどまることを知りません。チャーリー・ブラウンの野球チームがスポンサーを探していたときは、「ベートーベン」をスポンサーとして選んでいるし、毎年、12月16日のベート-ベンの誕生日は欠かさずお祝いしています(ただし、1957年は除いて!です。なんと、この年、なぜかシュローダーはベートーベンの誕生日を忘れていました。もちろん、その後の彼のショックはひどいものでした)。

      また、1955年2月27日のサンデー版では、シュローダーがベートーベン一途なのに腹を立て、ルーシーが彼のベートーベンの胸像をぶっ壊すのですが、シュローダーはクローゼットの中に一杯しまってある他のベートベンの胸像と取り替えるというお話が登場します。

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      また、シュローダーはベートーベンの聖地ドイツへ旅行もしています(この短編シリーズにはピーナッツの中に現実のドイツの風景が少し描かれました)。

      こんないきさつが影響しているのかどうなのか、シュローダーは、ライナス、スヌーピーと続くチャーリー・ブラウンの親しい友人の一人でしょう。 1963年3月17日には,有名なこんなサンデー版のお話が登場します。バイオレットは,偽善的な好意で,チャーリー・ブラウンに一月以上遅れのバレンタインカードをあげようとするのですが、側にいたシュローダーは「そんなことをするなんて!」とチャーリー・ブラウンのために激昂するのです(それでもチャーリー・ブラウンはバレンタインカードをもらいたがるのですが・・!)
      また、野球チームの中では、監督としても、投手としてもダメダメなチャーリー・ブラウンなのに、いつもキャッチャーとして敬意をもって接しているように見えます。

      【1951年5月30日 シュローダー初登場ストリップ】

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